須田町中部町会の女みこし
ダイバーシティの先駆
須田町中部町会の女みこし(神田須田町)
「天下祭」として知られる神田祭は、山王祭(千代田区・日枝神社)と隔年で西暦奇数年の5月上旬に斎行されています。一番の見どころはなんといっても神輿宮入です。
近年では、KIXプロジェクトやインターネット神田祭.チャンネルといったインターネットで生中継も行われています。
須田町中部町会のみこしは元祖女みこしです。1977年(昭和52年)から、女性のみのみこしを続けてきました。須田町一丁目中部町会では、1985年(昭和60年)はじめての試みとして女みこしを出して連合渡御に参加することとし、担ぎ手を公募しました。かつてのしきたりでは、女が触っては穢れる、よそ者が担ぐものではない、といわれていたことを考えると、女みこしの登場は、過去の祭りのしきたりに対する掟破りといえます。当時の女みこしの担ぎ手の多くは、地元企業や金融機関の女子職員でしたが、現代では、広く担ぎ手を募り、担ぎ手不足を解消し、目新しさや、女性の華やかさで見物客を楽しませています。
都心の同地区は、人口流出地で、昼間は在勤者でにぎわいますが、夜間人口は減少し続け、みこしを担げる若手男性層は不足していました。伝統行事ながら地元勢だけではまかないきれないことから始まった公募型女みこしですが、今では多くの担ぎ手に恵まれるようになりました。宮入時、緋色地に白桜を染め抜いたはちまきとだぼしゃつに黒袢纏姿の粋な女たちが、さっと片肌を脱ぎ神輿を差し上げる瞬間は、祭りのクライマックスと言えるでしょう。
更新日:2022年10月03日