太田姫稲荷神社
神田川の高台にあった
太田姫稲荷神社(神田駿河台一丁目2-3)
江戸城を最初に築いた太田道灌に縁のある神社です。現在は、三井住友海上火災本社ビルの西側に社殿があり、例大祭は隔年の5月に開催されています。
1457年(長禄元年)、太田道灌は娘が重い疱瘡にかかった時に、京にあった一口稲荷神社(いもあらいいなりじんじゃ)を江戸城内に勧請遷座しました。その神社がのちに江戸城鬼門から城の外に出て、神田錦町、そして神田駿河台の地に移り、現在の社になりました。
社殿は、当初は駿河台淡路坂にありましたが、大正期の総武線御茶ノ水・両国駅間の工事のために移転して、現在の地に落ち着きました。この駿河台淡路坂とは、JR御茶ノ水駅の聖橋口を出て左側の秋葉原方面へ向けて下る急坂のことで、坂の入口には今も「元宮」と書かれた木札が、歩道橋近くの椋(むく)の大樹に下がっています。
江戸時代から大正期までの神社は、明治期の地図や写真でも確認することが出来ます。この場所は、神田川を挟んでちょうど湯島聖堂の塀の反対側にあり、神田駿河台の地を鎮護する高台にあったことがわかります。太田姫稲荷神社の近くには「駿河台道灌道」があり、「駿河台匂」という桜の木があることでも有名です。4月には白く大きな花を咲かせ、その芳香で多くの見物客を喜ばせています。
更新日:2022年10月03日